リニモテラス公益施設

偶発的な出会いのある場所

私達が合流したのは大きく見直しがかかった実施設計の始まりの時だった。それまでの蓄積から小さな活動が至るところで起こり、時には重なり、大きな活動へと連鎖する場所が良さそうだと考えた。そこで、建物の中央を貫く大廊下の両側に小部屋がつく構成により、小部屋の活動を大廊下からのぞいたり、大廊下や屋外へ飛び出したりすることを思い描いた。目指したのは、商店街のアーケードや学校の廊下のような偶発的な出会いのある場所である。

愛知県産の木材を用いた身近な部材で、大きな気積の獲得も課題となり、その結果生まれた大廊下内側のバットレスが特徴だ。一列のラチスフレームを理想としていたが、スラストへの対応などから二列案を東畑建築事務所から提案された。組織事務所としての知見とアイデアから生まれた構造体だと思う。バットレスは構造上室外でも室内でも良かったが、室内にあることでそこに新しい空間が生まれる予感がした。この懐は設備や構造の機能的なスペースだが、大廊下と小部屋の距離を生み、利用者の想像を膨らませる場所となる。建物を支える裏方ながら、利用者の時間を豊かにし、出会いを引き寄せることに一役買うソフトとハードが一体化したものになった。

部屋名や施設名にはいくつか候補があったものの、愛称が未定のまま、「リニモテラス公益施設」としてオープンした。どう使うかどんな出会いがあるかまだ未知であることを物語っている。

リニモテラス公益施設

所在地:愛知県長久手市勝入塚121
主要用途:交流所、カフェ
共同設計:東畑建築事務所
構造:東畑建築事務所
設備:明和技術監理事務所
照明:studio tanbo
左官:蒼築舎
造園:大島造園
コミュニティデザイン:Life Work
施工:服部工務店
敷地面積:870.08 m²
建築面積:399.14 m²
延床面積:383.40 m²
階数:平屋
構造:木造
設計期間:2017.1-2020.3
施工期間:2020.7-2021.5